AIで商品ラベルをデザインする方法(印刷対応)
セブ島の週末マーケットで、コールドプロセス製法の石けんを売っている知人がいます。石けんそのものは本当に良いものです。ところがラベルは2インチのシールで、屋号は9ptほどのスクリプト体、その背後にはラベンダーのフルカラー写真。しかも買ってきたシール台紙が2×2インチなのに、デザインも余白ゼロの2×2インチで作ってしまったため、6枚に1枚くらいの割合で、自分のブランド名がカッターに真っ二つにされていました。
商品ラベルのデザインとは、そういうものです。ポスターを小さくしたものではありません。ポスターは平らな壁の上で、競合するものが何もない状態で、1.8メートルほど離れたところから眺められます。一方ラベルは、手に取られ、指先で回され、瓶の曲面に巻きつき、同じテーブルに並んだ他の4つの瓶と見比べられます。そのうえ、画面ほど精密ではないプリンターを通ることになります。
だからルールも違ってきます。2インチの面積で本当に効いてくるのは何か、そしてそのまま真似できる実例を紹介します。
商品ラベルに欠かせない3つのゾーン
手元にあるラベルを何でもいいので眺めてみてください。ジャムの瓶、ホットソースのボトル、バームの缶。どれにも同じ3つのゾーンが、同じ優先順位で並んでいます。
- アイデンティティ。 誰が作ったのか。たいていはブランド名、ときに小さなマーク。
- 商品。 それが実際に何なのかを、お客さんの言葉で。「ラベンダー・オートミール石けん」であって、「セレニティ No.4」ではありません。
- 必須情報。 内容量、原材料、連絡先、ロット・使用期限、そのカテゴリで法的に求められる表記。
ほとんどの人がやってしまうのは、この3つを同列に扱うことです。同列ではありませんし、しかも順位は「あなたが知られているかどうか」でひっくり返ります。まだ誰もブランドを知らないなら、ラベルで一番大きい文字は商品名の行であるべきで、ロゴではありません。マーケットに来た買い物客はあなたを探しているのではなく、石けんを探しています。3回買ってもらえるようになってから、商品名を小さくしてブランド名を大きくすればいいのです。
表面(フロントパネル)の配分は、目安としてアイデンティティに20%、商品名に45%、補足をひとつだけ(香り、サイズ、「セブ島で手作り」など)で20%、そして余白に15%。この最後の15%は無駄ではありません。小さなラベルを窮屈ではなく上質に見せているのは、まさにこの余白です。
塗り足しと安全余白は、フォントよりも多くのラベルを殺している
ここから先は、たいていのデザイン記事には出てきません。世のデザイン論のほとんどが、画面の中の話だからです。
プリンターもカッターもズレます。大きくはありません。1ミリか2ミリです。ただし50mmのシールにとっての1ミリは、全体の2%にあたります。対策は2つのルールで足ります。
- 塗り足し(ブリード): 背景色や画像は、四辺すべてで仕上がり線の外側に3mmほどはみ出させます。背景が仕上がり線ぴったりで終わっていると、わずかなズレで片側に白いスジが出ます。はみ出させておけば、ズレはその余分を食うだけで、誰にも気づかれません。
- 安全余白: 文字やロゴは、仕上がり線の内側4mmには置かない。知人が失敗したのはここでした。ブランド名が端に接していたので、ズレがそのまま文字を切ってしまったのです。
実際の数字にすると、2×2インチ(51×51mm)のラベルなら、データは57×57mmで作り、51×51mmで断裁し、文字はすべて中央の43×43mmの枠内に収めます。文字を置ける面積は思っているより狭く、だからこそ4行も詰め込むと破綻するのです。
自宅のプリンターでシール台紙に刷っていて塗り足しが取れないなら、逆の手を使います。四辺に4〜5mmの白フチを意図的に設けるのです。見せるつもりのフチはズレても成立します。事故で出た白いスジはそうはいきません。
腕を伸ばした距離のテスト
10秒でできて、ほとんどの問題を捕まえられるチェックがあります。ラベルを原寸で印刷し(またはスマホで100%表示にして)、腕を伸ばした距離に持ち、2秒だけ目をやります。
そこで商品名の行が読めるはずです。読めないなら、商品名の文字が小さすぎます。ラベルの失敗として一番よく見かけるのがこれです。犯人はたいてい小さく組まれたスクリプト体で、真っ先に文字の形が潰れます。装飾的な書体が好きならブランド名に使い、商品名の行は10〜12ptでもはっきり読める書体で組みましょう。
次に確かめるのは、読まなくても何の商品か分かるかどうかです。その役目を果たすのが色分けです。香りを4種類つくるなら、それぞれにアクセントカラーを1色ずつ与え、ほかはすべて同じにします。リピーターは文字を読む前に色で手を伸ばすようになります。小さなラベルで写真の全面背景がたいてい失敗するのも、同じ理由です。写真は情報が多く、文字と喧嘩し、4つのバリエーションを無関係な4商品に見せてしまいます。単色または2色のパネルにアクセント1色なら、そのままシリーズとして広げられます。Brand Kitをつくるときとまったく同じ考え方で、配色は一度決めて、あとはどこにでも適用するだけです。
実例:ラベンダー石けんのラベル
実際に組んでみましょう。条件は、51×51mmの正方形、白いシール台紙に印刷、少量生産の石けん、香りは4種類を予定。
表面のレイアウト(上から順に):
- ブランド名 —「Bayanihan Soap Co.」— Inter Semibold、11pt、濃紺、上部中央。
- その下に、香りの色で2mmの細いアクセントライン(ラベンダーの香り=この種類はくすんだ青紫。残りの3つにもそれぞれの色を)。
- 商品名の行 —「Lavender & Oatmeal」(ラベンダー&オートミール)— Poppins Bold、16pt、ほぼ黒。ラベルで一番大きい要素で、腕を伸ばした距離のテストもここで通ります。
- 補足の行 —「Cold process · Handmade in Cebu」(コールドプロセス製法・セブ島で手作り)— Inter Regular、8pt、グレー。
- 左下に「100g e」。右下にロット記号を入れた小さな丸バッジ。
すべては43mmの安全枠の内側に収まります。背景はシール台紙の白そのものなので、塗り足しの問題は最初から起きません。家庭用プリンターで失敗する要因がひとつ減ります。
裏面(帯を巻く場合や、シールを2枚使う場合): 原材料をINCI表記の順で6pt、連絡先、ロットと日付。マーケットの台の上でこれを読む人はいませんが、確かめる一人のお客さんに「ちゃんとした商品だ」と伝えているのはこの面です。
以上です。テキスト要素は5つ。このサイズの面積では、5つでほぼ上限です。
Ridvay Studioでラベルを組む
ラベルの内容を文章で伝えると、編集できるデザインが返ってきます。動かせるテキスト・図形・色のレイヤーであって、どこか気に入らないたびに生成し直すしかない平坦な画像ではありません。
少量生産の手作り石けん用、51x51mmの正方形の商品ラベル。上部にブランド名「Bayanihan Soap Co.」をクリーンなサンセリフで小さく、その下に細いアクセントライン、中央に「Lavender & Oatmeal」を一番大きな文字で、さらに「Cold process · Handmade in Cebu」という小さな1行、下部に「100g e」。背景は白、文字は濃紺、くすんだアクセントカラーを1色。余白をたっぷり取り、端の近くには何も置かない。
返ってきたら、3つの編集で印刷できる状態になります。
- 商品名の行をクリックして、サイズを上げる。 ブランド名にはっきり勝つまで大きくします。この記事の冒頭で見た、アイデンティティと商品の順位付けをそのまま適用するわけです。
- すべての要素を内側に寄せる。 どの要素も端から8%ほどの範囲に入らないようにします。これが安全余白です。全選択して四辺の隙間を見るのが、いちばん早い確認方法です。
- アクセントラインとバッジの色を、香りの色に変える。 そのあとデザインを3つ複製し、その色だけを差し替えます。香り4種類、レイアウトはひとつ、作業は午後いっぱいで終わります。
配色とフォントをすでにBrand Kitに保存してあるなら、それを適用するだけで手順1と3はワンクリックにまとまります。買ってきたシール台紙が2×2インチではなく2×3インチだった、というときも、作り直さずにサイズを変更すれば済みます。1つのデザインをあらゆるプラットフォーム向けにリサイズするのと同じ操作です。
良いラベルを静かに台無しにする4つのこと
- 装飾書体を2つ使う。 1つなら個性、2つは脅迫状の切り貼りです。個性のある書体には、素直な書体を合わせる。ほかのフォントの組み合わせとまったく同じ理屈で、ただ失敗できる余地がもっと小さいだけです。
- 白地に薄いグレーの文字。 高精細ディスプレイでは上品に見えて、印刷では消えます。白地に60%より薄いグレーは、8ptでは賭けです。
- ロゴが商品名より大きい。 まだ誰もそのロゴを知らないうちは、なおさらです。
- バリエーションごとに違うレイアウト。 ラベンダーのラベルとカラマンシーのラベルで構造が違えば、シリーズには見えません。別々の趣味が2つあるように見えます。
100枚刷る前に、1枚刷る
1枚だけ印刷して、切って、実際の瓶に貼り、その瓶をお客さんが一緒に目にするであろう他の商品の隣に置いてみます。曲面は使える幅を縮めます。平面なら収まる文字が、瓶では側面に回り込み、正面からは読めなくなることがあります。5ペソのテスト印刷ならそれに気づけます。100枚のシールでは気づけません。
あとは直して、書き出し直して、本番の枚数を刷るだけです。ラベルは、お客さんが商品を試す前に判断する、唯一の部分なのですから。