読まれるロールアップバナーのデザイン方法
ロールアップバナーで一番高くつく失敗は、直すのにお金が一切かからない。オファーを床から40cmの高さに印刷してしまうことだ。
展示会のたびに見てきた。バナー自体は悪くない。ロゴもいいし、書体もきれいで、オファーも本当に役に立つ内容だ。ただそのオファーが下の方にある。デザインしたとき、空いていたのがそこだったから。そして出展者はブースの前に折りたたみ机を置く——誰もがそうする——こうして数万円かけたバナーの下3分の1は、二日間テーブルクロスの裏側を眺めて過ごす。
ロールアップバナーについて誰も教えてくれないのはここだ。制約はキャンバスではなく、会場そのものにある。ロールアップは高さ2m、幅85cm。そのうち4分の1から3分の1は、什器や来場者の列、あるいは同僚の肩で必ず隠れる。長方形全体を使って設計すれば、お金を払った部分をちょうど失うことになる。
下3分の1はデッドゾーン
立ち上がって、2mのバナーのどこに目線が落ちるか見てほしい。だいたい床から150〜170cm——そこが読まれる帯だ。そこへ高さ75cmの机を置き、ブースに立つ人を2人加えると、およそ100cmより下は2歩離れれば実質見えない。
だから僕のルールはこうだ。大事なものは、版面の下端から700mmより下には置かない。 電話番号も、QRコードも、オファーも、ウェブサイトも。その下の帯には背景色、ブランドカラーの帯、せいぜいロゴの繰り返し——失っても惜しくない装飾だけを載せる。
ここがロールアップと他の大判印刷の分かれ目だ。屋外のターポリンは遠くから読まれるので、ターポリンの版面設計は純粋にサイズとコントラストの問題になる。ロールアップは2〜3mの距離で、斜めに通り過ぎる人に読まれる。失敗の理由は「小さすぎる」ではなく「隠れている」だ。
850x2000mmを3つの帯に分ける
多くのカセットは850×2000mmの出力を収める(印刷会社のテンプレートは必ず確認を。幅800mm指定もあれば、巻き込み分を足した850×2050もある)。この高さを3つの作業帯に分ける。
上の帯——1400〜2000mm。 ロゴと、自分がやっている一つのこと。頭の高さより上なので、ブースの前に人が三重に立ったときに唯一見える部分だ。ロゴ+5〜8語の一行。「一日中座っている人のための理学療法。」スローガンではなく、説明。
中央の帯——700〜1400mm。 目線の高さ。実際の仕事はここで起きる。見出し、支える一行、そして短い根拠を最大3つ。通りかかった人が「足を止めるか」を決める1.5秒で読むのがここだ。
下の帯——0〜700mm。 無いものとして扱う。カラーブロック、パターン、切れても成立する大きめのグラフィック。壁付けで机も置かないと決まっているブースなら、CTAを900mm付近まで下げてもいい。ただしそのバナーが別のイベントに行った瞬間、それは失われる。
2〜3mで効く文字サイズ:見出し100〜140pt、サブ50〜70pt、本文32〜40pt。30ptを下回りたくなったら、その文章は展示会では読まれない。チラシに載せるべき内容だ。
印刷所に差し戻されるデータの落とし穴
繰り返し戻ってくるのは3つ。
- 塗り足し。 左右に3〜5mm、下は多くの場合100mm以上。その帯は物理的にカセットへ巻き込まれるからだ。背景はそこまで伸ばし、文字は入れない。
- 解像度。 2m先に300dpiは要らない。原寸で100〜150dpi、または25%縮小で300dpi。行き着く先は同じで、後者ならPCが悲鳴を上げない。
- 色。 濃紺や黒のベタ面が広いと、安価な塩ビではバンディングや擦れが出る。少し明るく彩度を落とした面のほうが均一に刷れるし、会場のスポット照明下ではマットがグロスに勝つ。
実例:健康フェアの Harborview 理学療法クリニック
地域の健康フェアに小さなブースを出す、2人の理学療法クリニック向けに僕が組むならこうなる。目的は認知度ではなく、その日のうちに無料チェックを予約してもらうことだ。
上の帯(1400-2000mm):
- ロゴ中央、幅260mmほど
- その下に「一日中座っている人のための理学療法。」
中央の帯(700-1400mm):
- 見出し:「午後3時には腰が痛い?」——130pt、バナー上で最も大きい要素
- サブ:「ブースでその場で受けられる、15分の無料チェック。」——60pt
- 青いチェック付きの根拠3行、36pt:「紹介状不要」/「今週中に予約可」/「ほとんどの保険が適用」
- ベタ塗りの青いボタン:「枠を聞いてください →」——印刷されたボタンでも、人はそれを指示として読む
下の帯(0-700mm):
- ブランドの青のワイドなブロックに淡いパターン。クリニックのURLを白でブロックのいちばん上(660mm付近、低い机でも生き残る高さ)に置き、他には何も入れない。
無いものにも注目してほしい。クリニックの沿革の段落もなければ、握手のストック写真もない。床に近い位置のQRコードもない——その高さではスマホがきれいな角度を取れない。ロールアップにQRを入れるなら、目線の高さ、1200mm前後、一辺80mm以上で。
Ridvay Studio で作ってみる
Studio を開いて、デザイン指示書ではなく「そのバナーの説明」を書く。
健康フェア向けに、Harborview 理学療法クリニックの 850x2000mm 縦型ロールアップバナーをデザインして。上部にロゴと「一日中座っている人のための理学療法」の一行。目線の高さに見出し「午後3時には腰が痛い?」、サブ「ブースでその場で受けられる15分の無料チェック」、チェック付きの3点:紹介状不要、今週中に予約可、ほとんどの保険が適用。青いボタンに「枠を聞いてください」。下の700mmは無地の青いブロックにして、その上端にウェブサイトだけ置く。すっきり、高コントラスト、ネイビーと青。
返ってくるのは編集できるデザインで、平らな画像ではない。見出しはフォントとサイズを持つテキストレイヤー、ボタンは色を変えられるシェイプ、チェック3行はそれぞれ書き換えられる独立した行だ。これはSNS投稿以上にここで効く。ロールアップの文言は、入稿までに必ず2回は変わるからだ。
そのうえで、上の3つの帯からそのまま出てくる編集を加える。
- 見出しをクリックしてサイズを上げる。 バナー上で明らかに最大の要素になるまで。2mの印刷物では「画面で十分大きい」はまだ小さい。
- 中央のグループごと上へドラッグし、ボタンの下端が700mmのラインより上に来るようにする。Studio ではおおよそキャンバス下3分の1の始まりだ。
- ブランドキットを適用して、青をデフォルトではなく自社の青にする。まだ無いなら、ブランドキットを作るのに10分ほど。以降のバナーはすべてそれを引き継ぐ。
- 下のブロックを単色パネルに差し替え、中にあるものを削除する。いちばん抵抗のある編集で、あとから必ず良かったと思う編集でもある。
プロンプト入力済みで試せる:このロールアップを Ridvay Studio で開く。
1枚のバナーを、複数のイベントへ
ファイルを開いているうちにやっておくとよいのが、サイズ変更だ。同じ内容が2×1mのバックパネルにも、受付テーブル用のA1ポスターにも、出展告知の1080×1920のストーリーにもなる。Studio のリサイズはレイヤーを保ったまま再配置するので、作り直しではなく調整で済む——1つのデザインを各プラットフォーム向けにリサイズするで書いたのと同じ話だ。
そしてイベントが終わったとき、あの中央の帯——見出し、サブ、根拠3行——は、今年あなたが書いた自社の説明の中でいちばん良い短文になっている。3m先の見知らぬ人に読まれて生き延びた文章だ。ウェブサイトに載せてしまおう。
バナーそのものは安い部分だ。大事な700mmをテーブルクロスの上に持ち上げること、それが仕事のすべてになる。
Ridvay Studio でロールアップバナーを作る → —— 無料で、返ってくるのはそのまま編集できるレイヤーです。