AIで1枚もののセールスシートを作る方法(デザイナー不要)
知り合いにコーヒーを卸売りしている人がいます。従業員2人、焙煎機1台、バン1台。彼はカフェとの商談後に置いてくる1枚もののシートを午前中いっぱいかけて作り、50部刷る前に私に見せてくれました。
それは、自社サイトのトップページをそのまま縮小したような紙でした。カップにミルクを注ぐ手の写真。中央には「こだわり。情熱。つながり。」の一文。創業ストーリーが3段落。そして一番下に、9ptのグレーで電話番号。価格はなし。袋のサイズもなし。最低ロットもなし。配送曜日についても一言もありません。
「君が帰ったあと、カフェのオーナーは何をすると思う?」と聞いてみました。彼は「読んで、電話をくれる」と答えました。つまり彼は、相手がすでに買うと決めている場合にしか機能しないシートを作っていたのです。
1枚もののセールスシートとは、そういうものです。あなたがその場にいないときにこそ働く紙。パンフレットでもなければ、ピッチデッキでもありません。あなたの名前も、話した内容の半分も忘れた3日後に、買い手が答え合わせのために見返す紙です。
1枚もののシートが本当に果たす役割
置いてきた資料が手に取られるときの相手の状態は、だいたい決まっています。関心はうっすら、記憶はゼロ。机を片づけていてふと目に入り、取っておくか捨てるかを8秒ほどで判断されます。
その8秒のあいだに確認されているのは、次の4つです。
これは何? 理念ではありません。カテゴリーです。「小ロット焙煎のコーヒー卸、ポートランド産」。
自分向けか? 買い手が自分の姿を重ねられなければ意味がありません。「月5〜50kgを仕入れるカフェ・オフィス向け」の一行は、「あらゆる規模の企業様とお取引しています」を何度書くより効きます。
いくらか? ここを飛ばす人が多く、そしてここがシートを殺します。買い手が数字にたどり着けなければ、その紙は「聞かないと分からないもの」の箱に入ります。それは「見送り」と同じ箱です。
次に何をすればいい? 行動はひとつだけ、はっきり書く。そのために必要なものも添えて。「サンプルのご依頼は sam@harbor.coffee まで。2種類の焙煎を250gずつ、無料でお送りします」。
それ以外はすべて装飾です。役に立つ装飾もありますが、装飾は装飾でしかありません。
1枚を分解してみる
以下は、彼のシートを作り直したものです。会社も、紙1枚という条件も、印刷所も同じです。
ページ上部3分の1 — ノートパソコンの下に半分埋もれていても見える部分 — に置いたのは、社名、事業内容の一行、そして見出しです。「こだわり。情熱。つながり。」ではありません。代わりにこうしました。常連さんが指名する豆。 その下に、小さめの文字で。ポートランドのカフェのための小ロット焙煎。火曜に焼いて、木曜にお届け。
このサブコピーだけで、「これは何か」と「自分向けか」には、次の一行を読む前に答えが出ています。火曜に焙煎して木曜に届くという一点は、創業ストーリー全体よりも働きました。カフェのオーナーが実際に天秤にかけているのは、その種の具体的な条件だからです。
中段には、短いブロックを3つ。段落ではなく、ブロックです。それぞれ見出しを付けて、本文は6〜10語ほどの短さ。「鮮度は月単位ではなく、日単位で。」「本当にブレないハウスブレンド。」「動かない焙煎は無料で交換。」どれも、彼が実際の商談で言われた反論を、言われる前に片づけたものです。
そして、彼が丸ごと省いていた部分 — 3行の価格表です。1kg、5kg、12kgのそれぞれに価格を並べ、配送は5kgからという一行を添えました。凝ったことは何もしていません。よくできた価格表を成立させているのと同じ、ただの明快さです。価格を刷ることに彼は不安を感じていました。しかし、数字を見て気に入らない卸の買い手は、そもそも顧客にはなりません。そして数字を見て気に入った買い手は、その場で検討段階へ進みます。
フッターには、名前、携帯番号、メールアドレス、そしてサンプルを頼んでほしいという一文。実際の袋の写真を、隅に小さく。
紙面に載っている文字は、合計でおよそ90語。最初の版は310語ありました。
目を細めるテスト
印刷する前に、文字がグレーの帯にしか見えなくなるまで目を細めてください。その状態でも、3つのかたまりが見えるはずです。大きな見出しのブロック、中段の構造のかたまり、そして下部の密度の高い連絡先ブロック。
目を細めたときに、ページが均一なグレーの長方形にしか見えないなら、載っているものが全部同じ大きさだということです。つまり、どれも重要ではないということ。これがいちばんよくある失敗です。上から下まで同じサイズの文字が並び、視線を受け止める起点がどこにもない。直し方はたいてい一手で済みます。見出しを「これくらいだろう」と思うサイズの倍にして、本文を小さくする。紙面型のデザインでは階層(ヒエラルキー)がほとんどの仕事をこなします。だからこそ、覚える価値のあるデザインの4原則の1番目に来るのです。
目を細めたまま、もうひとつ。価格表のまわりに余白はありますか。段落にぴったり押しつけられた表は、契約書の細則のように読まれます。空気を与えれば、提案として読まれます。
Ridvay Studioで1枚作ってみる
Wordのテンプレートと格闘するより、作りたいシートを言葉で説明して、返ってきたものに手を入れるほうが早い。次の文章をRidvay Studioに貼り付けてみてください。
カフェ向けに小ロットのコーヒーを卸す Harbor Coffee Roasters の、1枚ものの卸売セールスシート。見出しは『常連さんが指名する豆。』。短いベネフィットのブロックを3つ、袋サイズ3種類のシンプルな価格表、そして次の一歩がはっきりわかる連絡先フッター。背景はクリーム色、深いグリーンとチャコール、クリーンなサンセリフ。
返ってくるのは編集できるデザインで、のっぺりした画像ではありません。見出しは独自のフォントとサイズを持つテキストレイヤー、価格表は打ち直せる本物の行、クリーム色の背景は色を変えられる図形です。生成し直しては祈る、ではなく、編集するのです。
すぐに手を入れたい箇所が3つ。それぞれ、ここまでの話と対応しています。
- 見出しをクリックして、サイズを上げる。 AIが選んだサイズは、たいてい遠慮がちです。目を細めるテストに通るよう、上部3分の1を支配させましょう。
- 価格の行を実際の数字に打ち直し、表の上に余白を足す。 上のブロックとのあいだにはっきり隙間ができるまで、表を下にドラッグします。その隙間が、価格を細則に見せないための装置です。
- 3つのベネフィットブロックのうち、1つを削る。 反論への答えではなく、ただのスローガンになっているものが必ず1つ混じっています。削って、残る2つに息をさせましょう。
ロゴとブランドカラーを保存してあるなら、Brand Kitを適用するだけでシート全体がワンクリックで着せ替わります。50部刷る前にやっておく価値があります。
削っていいもの
これまで見てきたほとんどのセールスシートで、必要に思えて実は要らなかったものを挙げます。
- 創業ストーリー。 それはあなたが事業を始めた理由であって、相手が今週買う理由ではありません。入れるとしても、フッターに一節だけ。
- 2ページ目。 2ページ目ができた瞬間、1ページ目の仕事が甘くなります。「細かいことは裏に書けばいい」と自分に言い訳できてしまうからです。書けません。半分の人は裏返しもしません。
- 握手している人のストックフォト。 売っているものを見せてください。袋、バン、棚に並んだ商品。自社商品の実物写真は、他人の商品の美しい写真に勝ちます。
- 3種類のフォント。 2つで十分。迷うなら1つ。
- 唯一の次の一歩が「お見積もりはお問い合わせください」。 それは扉ではなく壁です。会話なしで頼めるものを差し出しましょう。サンプル、価格表、予約リンク付きの15分の通話。
もうひとつ、実務的な話。A4かUS Letterの比率で作り、2×で書き出せば印刷が鮮明になります。そのうえで、メール用にもう1バージョン書き出してください。セールスシートは紙の上と添付ファイル、その両方で生きます。そして、実際に決裁する人へ転送されるのは、たいていメールで送ったほうです。
友人は作り直した版を印刷しました。変わったのは電話の本数ではなかったそうです。変わったのは第一声で、「で、御社は何をされている会社でしたっけ?」ではなく「5kgのやつ、最短でいつ届きますか?」から始まるようになったことでした。
それが1枚もののシートの狙いです。売り込むためではありません。答えをすでに持っている質問のせいで、売れるはずのものを取り逃さないためです。